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Logos 今月の言葉

☆ ドイツ大使館からのメッセージ               2018年3月
 ドイツ大使館の広報課長マリオ・クレーブスさんが来札しました。札幌市の国際交流プラザの招きでした。午後、北海道日独協会の主催で講演会、その後懇親会がありました。ボン大学、ロンドン大学で地域学をおさめ、北京で中国語を学び、ベルリン工科大学で環境経済を研鑽された後、ドイツ外務省に入り、人権政策、人道支援の担当となり2015年駐日ドイツ連邦共和国大使館広報課長となられた方です。
 お母さまが日本人。ご自身は東アジアに関心をもち、日本語、中国語に堪能です。 ご講演は、日本語でなされました。ドイツが現在抱えている新しい課題は、ヨーロッパにおける民主主義と自由が危機に出会っていること、とても困難な内外の情勢、右派の台頭、ポピュリズムの広がりなど、あるけれども歴代の大統領も、首相も明確な政治的メッセージを出していること、国際情勢の中で秩序と法規範を尊重していきたいと、お話しされました。そして日本も東アジア情勢の中で日独友好の絆の中で連携をしていきたいと真摯に語られました。
 質疑応答の中で、ドイツも日本と同様少子高齢化をともにしているので共に学びあいたい、といわれました。 難民政策に対してドイツははるかに開放的であることを日本と比較して質問した方がおられました。なぜか、ということです。
ドイツの大統領はすすんで「イスラムはドイツの一部だ。」と語っています。 ヨーロッパの国境は流動的です。戦後は1000万人を超えて移住しています。多くのドイツ人自身の経験から寛容なのです。クレーブスさんご自身も祖父の代では今日ではウクライナなっているところで生活していました。その後そこはポーランドになりました。そのような経験を重ねている人たちはとても多いのです、とご紹介がありました。
かつて堀江憲一という日本の青年が、小さな帆船を独りあやつりサンフランシスコに入港、上陸しようとして入国管理局から阻止されたことがありました。 当時サンフランシスコ市長がこれを聞いて、「わたしたちだって、かつては誰の許可をうけずに上陸したものたちだ。」といって上陸許可を与えてという話を聞いたことがあります。
しかし、いまどうでしょうか。「アメリカ第1」を掲げて、移民を制限する政策に急速に変わりました。 ヨーロッパは、ヨーロッパ連合によって基本的な枠組みは保たれています。ヨーロッパ内は、「流動的」というよりも「ひと、もの」が自由に交流して半世紀になりつつありあます。とくに若い世代は、自分の人生を生かすために、 EU 域内で活動し自己実現を図ろうとしていますし、また極めてそれが達成可能だという実績がうまれています。
さて、日独協会の講演会を終えて、数日後羽田からデュセルドルフへ向かう飛行機に乗りました。隣の座席の青年がドイツ語と日本語を話すのです。わたしは数日前に札幌で、ドイツ大使館の方が日本語に堪能で、そのような方がこれからますます活躍する時代を感じさせました、と申しましたら、かれ「それ、私の父です。」というのです。もうそんな時代にきているのですね。                                  雨貝行麿