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Logos 今月の言葉

20182月 館長の言葉
今回は、この2月にフランスの西、ソ-レムの修道院にグレゴリオ聖歌を学んでこられた方の報告会、研修会の報告としてお話します。ソーレム修道院は、中世期のグレゴリオ聖歌を復活させた修道士たちで、今日までもその歌唱をめぐって指導的な役割を果たし、多くのグレゴリオ聖歌研究者、愛好者たちを研修のために集めているところです。札幌の若手指揮者のひとり、陣内直氏がすでに数回にわたって訪れていました。かれのワークショップのかたちで『グレゴリオ聖歌とうたごころのセミナー』として札幌の教会を会場にして実施しました。彼ご自身の指導しているコーラスのメンバーだけではなくいろいろなコーラスグループで歌っている方々が集って、午前と午後各定員25名が一堂に集いました。 わたしは午後の部、はじめに4線ネウマ譜の読み方でした。中世期の譜面の書き方を学び、すぐに声だしです。そしてラテン語の文章を読みます。賛歌ですので文章には意味があります。その文章をきちんと歌で表現するように音符、そして楽譜ができています。 参加者が斉唱で部分から短い文章を歌いつなぎました。教会堂の天井が高いのでよい音響でひびきました。参加されている方々はグレゴリオ聖歌を歌った経験がある方々のようでしたので、音のつなぎ,抑揚は上手でした。 合間に講師の陣内さんはソーレム修道院の一日を紹介しました。かれは修道士たちと寝食を共にされたとのこと。世界中からグレゴリオ聖歌を学ぶために集まってきた歴史がありますので、いまは近くにも宿泊施設があります。そんな世話も修道院ではしています。レント以外は恵まれた食事です。ただ食事の間は当番が聖書をフランス語で唱え、その間は沈黙で食事をするとのことです。この沈黙のことがあって「手話」が生まれたともいいます。 聖務日課は現代では少し緩和されているようです。1週間のうちで150篇の詩編を歌いきるのです。 男子の修道士たちのアカペラでの斉唱の録音を聞かせていただきました。至福の時でした。 わたしは2年ほど前にバルセロナ近郊のシトー会修道院ポブレートを訪れたことがあります。賛歌(あさのお勤め)のときでしたが白い麻のガウンを着た修道士たちがそろうと、わたしどものところに一人の修道士が近づき、グレゴリオ聖歌(ラテン語)とそしてカタロニア語の聖歌ですと案内してくださいました。 ヴァチカン公会議の成果で俗語、自分たちの言葉でグレゴリオ聖歌を歌うことをしていました。 朝の澄んだ空気の中で、白い壁で囲まれた空間、そこは修道院の礼拝堂です。天井の高い、石の建物です。穏やかな主を賛美する歌声が聴くわたしどもの平安を与えます。 「主よ、憐れみたまえ、キリストよ、憐れみたまえ。」数百年の時を歌い続けているひとびといる。札幌で、毎年6月教会音楽祭のとき、このグレゴリオ聖歌を研鑽している方々が歌います。雨貝行麿