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Logos 今月の言葉


2016年 9月 館長からのメッセージ
  

 当センターの地階に納骨室が設営されています。当館建設の途中で「納骨室」を設営することが提示されました。その意図は、運営委員会、建設委員会の記録がありませんので今では不明です。ただ一時的にお預かりする、というかたちです。当時会計担当の坂井肇さんが近隣の方々を訪問して、ご理解とご了承をえた、ということです。
 2010年から9月に(敬老の日をはさんで遠方からも参加できるように設定しました。)「永眠(逝去)者記念礼拝」をささげることとして、納骨されているご遺族にご案内を差し上げています。同時に、館長・主事を担ってくださった方々も記念することとしました。常日頃には、納骨室を訪れる方には、必要に応じて館長が祈祷・奨励をすることとしています。
 最近、あらたに教会員ではない方から「母親の希望(遺言)で、キリスト教のところに入れたいが、センターに依頼していいでしょうか。」という問い合わせがありました。
 センターとして「よろこんで」とお返事しました。
 さて、90歳をこえて、召されたお母様の納骨のために息子さんたちがおみえになりました。ご子息たちからお母様の人となりをうかがうことができました。
 お母さまは、戦前、北星女学校をおえ、ご結婚され、お二人のご子息にめぐまれました。札幌で、戦前戦後の困難な時代の中で、ご子息を育てられた。当時は、だれでも生きるのに困難でした。戦争と戦後の経済変動のなかで、まともに生きることは筆舌を尽くしがたい困難さがありました。
 ご子息たちは、おそろいで納骨室においででした。そして、当センターでは毎朝聖書を読み、讃美歌を歌っています、と申し上げましたらホットなごんでくださいました。
 天国でのお約束の聖書をお読みして、讃美歌312番をお示しして歌いだしました。すると、ご子息たちが声をそろえて312番をお歌になります。お祈りをして終わりました。
 さて、としてご子息たちにお尋ねしました、讃美歌をどうしてご存知ですか。

すると「母が台所で讃美歌をよく歌っていたので。」ということです。
そして、すこし語ってくださいました。やや真剣な面差しです。
 母は、結婚する時、その時代ですから、キリスト教徒ではない父と一緒になりました。母親として、その日常生活をみると、あとになってわかったことですが凛としたところがあってテレヴィなどもあまり見ないことにしていたようです。そんな母親を誇りに思っていた、と。  母を思うと、誇りに感じる、そうご子息たちはいわれました。その母が口ずさんでいた讃美歌をご子息たちが、いま、その意思を継いで歌うことができる。
 母はご子息たちを信頼していた、だからご自分の後を託して、当センターを訪れたということ、わたしは、なにか胸に迫るものを感じました。
 この時代の中で讃美歌21が出版され、そこには多数の改変・手直しがなされています。
覚えていた讃美歌がなくなりもしました。
 愛唱された讃美歌は、すでにたくさんの方々の記憶の中にしまい込まれ、大切な時ふと、口の端にのぼってくるのです。

 
                                     雨貝行麿

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