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Logos 今月の言葉


2016年 5月 館長からのメッセージ
  

   

 札幌では風はまだ冷たいですが、土が温かくなっています。ですからレンギョウが咲きだし、足元には水仙が花を開いています。
 5月の前に「北海道新聞」が憲法に関するアンケートを一面に大きく掲載しました。
 最近は新聞を購読する人々が減りましたから、あるいはこの結果を見る人が少ないのではないか、そう思って再録します。
 新聞一面に、大きな活字で「憲法評価88%」と書いています。このアンケート調査は「道内に住む18歳以上の方がたを対象に4月22日と23日コンピュータで無作為に取り出した世帯575件のうち502世帯からの回答による」としています。「憲法の評価」とは「憲法が戦後の日本に果たした役割への評価」です。「大いに評価する28%。ある程度評価する60%」「評価しない」としたひとは「権利の主張が多く、国民の義務がおろそかになっている」が46%です。
 たしかに戦後70年、その間にアジアでは大きな戦争がおこり、依然戦争状態といってよいでしょう。朝鮮半島のことです。そしてヴェトナム戦争、米軍が戦い、日本はその同盟国の側でした。さらに湾岸戦争。いづれも厳しい作戦行動でしたが、日本はこれに積極的には参加しませんでした。戦後日本は、憲法により他国のひとを殺さない、殺されない、としてきました。
 明治の半ばから、昭和の半分を他国に出かけて行って戦争をしてきました。その時代、明治生まれの女性たちは父を、夫を,そして子どもさえ戦争で失い続けて、故郷の墓地に、真新しい墓標を立ててきました。その傍らでどれだけの涙が流されてことでしょうか。
 さて、そこで今回のアンケートでは最近の政府・自民党が提案、そして法律となった「集団的自衛権」の行使を可能にした「安全保障関連法」に関しては、市民たちは「戦争に巻き込まれる恐れがるので廃止すべき」が48%、「日本の安全保障上、必要だ」が49%という見解がしめされました。
 たしかにテロや大規模災害が頻発するようになりました。それらに対して国家の緊急事態に対応するために「憲法改正」を主張する自民党の方針に対しては「改憲して、緊急事態の条項を明記すべき」との案件に対しては20%、「現行法で対応する」が77%としています。
 日本は、不戦の誓いとしての新しい憲法を内外に宣言しました。誇らしいものです。そしてこの誇りを携え、次の世代にしっかりと受け渡していかなければならないと思いました。そして、最近になって、ほんとうに真剣に考えるようになってきました。
 それはアジアの地域で、大小の国々が対立を深くし始めているからです。しかもその当事者に日本がなりはじめているようだからです。
 選挙法が改正されて、参政権が18歳からになりました。これも日本の歴史では画期的なことです。若い世代がアジアのなかで冷たい鉄の武器を手にするのではなく、笑顔と温かい手で交流するヴィジョンをいだきます。5月に入り「共同通信」が改憲を50%が望まないと報告しています。

 
                                     雨貝行麿

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