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Logos 今月の言葉

201311月 台湾からのミッション 

このたび当センターで北海教区のアイヌ民族情報センターが主催して台湾、玉山(イーサン)神学院の同窓生による「ナルワン」コンサートがおこなわれました。女性4人男性3人で、スクルマン宣教師が司会と紹介をなさいました。台湾の原住民でキリスト教(プロテスタント)の牧師の方たちでした。コンサートで、賛美歌は身体全体で歌うという表現でした。ご自分たちの母語によるものでした。台湾では公用語はいま北京語ですが台湾のキリスト教徒たちは特に母語を大切にされていますし、またその母語でキリスト教信仰を育てておられます。氏名もそれぞれ北京語が公式ですが、実際にもまた考え方も原住民の母語を第1としてとても大切に用いておられます。
 「アレルヤ!」のくりかえしや「アメイズイング・グレイス」は一部英語で歌われましたが、他はほとんどご自分たちの母語でうたわれました。楽器も珍しいかたちをしたものをそれぞれ持参されてそれを手に持ち、紡ぐしぐさでした。
 母語の台湾語ではすでにローマ字での表記がなされていますが一部はやや特別な発音です。賛美歌を歌う際は、ことばと身振り、手振りでとても賑やかですが、女性たちはなにかしら「淑やか」という印象をもちました。お一人お一人民族衣装を身につけておられました。それらは華やかの装飾もあればやや地味な衣装もあります。台湾では14の部族おられ、台湾の土地で交流があり、その民族衣装でどの部族か分かるのだそうです。スクルマン宣教師もいつもとはちがう民族衣装を身に着けておられて、わたしはしばらく師であることに気づきませんでした。見間違えたほど美しいものでした。
 それぞれの部族がそれぞれ集落をつくっておられ、その集落がキリスト教の集落となっているところがあるとのことです。
 1985年以来日本キリスト教団では台湾のキリスト教団のなかでも「台湾基督長老教会」との宣教協力の協定を締結してきました。北海教区ではこの宣教活動を提携して進めるために委員会をたちあげています。教区としての位置付けとその支援体制・協力体制を強化しつつありますし、スクルマン宣教師ご自身も少数民族としての自覚もあり日本におけるその分野で、北海教区のみならず奥羽教区、東北教区にわたって、とても意欲的な活動をつづけておられます。
 台湾では、かって一度カトリックの宣教師が到来しましたが弾圧で途絶え、19世紀になってからイギリスとカナダからのプロテスタントの宣教師たちによる福音のたねがまかれました。プロテスタントは、例によって教派それぞれによる活動ですからスコットランドから長老派が派遣されルーテル派も拠点をおきました。日清戦争の結果日本による政策のもとでの信仰の困難さ、さらに中華人民共和国による中国本土の支配により、国民政府軍が台湾に上陸したあと、民族間格差による支配という困難さの中でキリスト教信仰を守り、育ててきました。困難を経験して、信仰は必ず謙虚と忍耐とをみにつけるようです。
 今回、コンサートでは会場の方々と一緒になって信仰と賛美とが表現されました。これを台湾のことばでは「ナルワン、ナルワン」とおはやしのようにあいの手をいれることをいうそうです。交流のひとときが与えられました。                 
                         雨貝行麿

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