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Logos 今月の言葉

201211月 前月の4センター研修・協議会のつづきです。

 北海道クリスチャンセンター、道北クリスチャンセンター
につづいて瀬棚に置かれた三愛畜産センターの現況が創立者
の生出正実さんと夫人が話されました。

 生出さんは瀬棚での牧草刈りをおえてこれから海外の畜産
の現状を見学するために出かける前でした。

 彼の酪農への道はフロンテイアです。酪農とは無縁の両親
のもとで育てられましたが創設したばかりの江別にある酪農
学園で青年期に学び、樋浦誠という酪農とキリスト教信仰を
生きた先達に深い影響をうけて酪農・開拓にいそしんだので
す。

 酪農学園は黒澤酉蔵氏によって創立されましたが、樋浦誠
氏は、その後学生青年たちと寝食をともにして彼らを育てた
といわれ、多くの酪農青年に敬愛された方です。その中のお
一人が生出さんでした。生出さんは、時には日本海の列風に
さらされ、瀬棚のくまいざさの生い茂る原野を開拓するとと
もに「畜産センター」をつくり瀬棚地区の利別教会に協力し
てのキリスト教宣教活動をされました。以来50年いまも子
どもたちが毎週当センターに集い礼拝と聖書のまなびを続け
ています。

 毎年、ご夫妻は同時に十数年にわたってフィリッピンの青
年たちの就学支援とかの地でのヴォランテイァ活動を続けて
います。「学びたい」が学費が足りないという学生との絆、
見るに見かねてのご縁ができ支援活動をつづけてきたとのこ
とでした。

 生出さんは瀬棚での酪農実習で多くの後継者たちを育てら
れましたが、今回の研修・協議会ではその研修生の一人だっ
た五十嵐さんの牧場を見学することとしました。上士別まで
移動しますとそこの丘陵地帯での多角的な農業経営をされて
いた五十嵐ご夫妻はともに瀬棚の生出さんの畜産センターで
の実習をして農業のみならず精神的な影響をうけた方たちで
した。そしてそのお子さんたちがサラリーマンをやめて五十
嵐氏たちと共同して多角的な農業に携わり、実績をあげて発
展しておられるところでした。

 脱サラして農業技術を学びにきている方も寄宿して「計画
と実働、その労働はきつい。しかしその成果が見える」とい
うのです。農業生産という毎日の生産活動は「実は楽しい!
」。北海道の地らしい丘陵に点在するさまざまなこと、鶏は
そこここにたむろし、卵をうむ。だから卵探し、ミツバチの
巣をねらうスズメバチを駆除する手軽な方法、ベリーの垣根
が続く道、実習した方々が作りはじめたブロックの壁、すべ
てが初めて見ることばかりでした。

 そして野外に置かれたテーブルでお茶が振舞われました。
手作りのかぼちゃプリンともぎたての!温かなとうきびを戴
きました。虫の羽音、小鳥の声、そして緑のうえを吹く風の
なかで政治の貧困と農業の意味を自信をもって語る五十嵐氏
の「物語」にしばし聞きほれました。帰り際思いがけないこ
とでした。五十嵐氏が庭においてあるかぼちゃを両手でなで
て拭いて「お土産」と手渡してくれました。重い。

 しばらくして、自宅で硬い皮を切り、ふかしました。とて
も「ホクホク」でした。
農業という仕事は計画と放任のバラ
ンスの取れた仕事で未来の収穫を信じる倫理性をはぐくむこ
とと感じました。
 
 瀬棚での生出さんの後継者が上士別で活躍して、もうその
また後継者がいました。
                                                  (雨貝行麿)

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