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Logos 今月の言葉

2012年 1月 館長からのメッセージ  

例年、年末は、その一年間で起こった10大事件を新聞はあげます。
オーストリアの一般新聞「クーリエ」では、その一番目に「日本の3:11、大地震・大津波そして原発事故」で24000人が亡くなり、40万人が被災した」ことを掲げました。ドイツでは、なによりも「原発事故」がとりあげられました。日本では、「大津波」による大災害が報道されています。
 マスコミでもテレヴィはリアルな映像がほしいのでしょう。今もたびたび、一瞬のうちに街が津波にのみ込まれる情景を映し出しています。家が軒並み破壊されつつ流され、その瓦礫とともにひとが窒息し、車が浮き沈みし、大きな船が波になった水流に翻弄されていくさまを放映します。一瞬のうちに、培った財産を失い、かけがいのないひとを亡くして茫然自失していた方々がそれぞれ心の内に「どうにかしよう」としても、まだまだ動き出す力がわき出でてこない現実です。わたしどもも何から手をつけてよいかわからない。
 あの破滅的な状況においては「微力でどうすることもできない」が「無力ではない」と支援することをはじめましょう。
 いつでもそうですが、わたしどもは目の前でおこる出来事に対して、しっかりした判断をしなければなりませんね。日本のマスコミが取り上げなくなりましたが、懸念されることは日本の社会のあり方、戦後の経済的成長を第一とする価値判断の是非でしたし、原発はコストが安い、しかも「安全だ」ということが虚構であることが判然としました。
いま、日本では、「大津波」による壊滅的な打撃から復興することに話題の中心が置かれています。復興の方法、またその方向性がかならずしも十分に検討されているとはいえませんし、政策が判然とはしません。支援の方法も明らかではありません。「再建」では一致します。しかし「原発事故」に対しては一義的に「再建」ではなさそうです。コスト計算に錯誤がありました。むしろ「ごまかし」のようでしたね。ましてや「原廃棄物処理」の方途さえ決まらずに見切り発車していたのです。技術的にも未成熟でした。くわえて、代替えエネルギーの話は9カ月経過した今では日本のマスコミは一様に口を拭うようにして沈黙しています。
わたしども日本人は、放射線被曝では「ひろしま」「ながさき」(海外では広く知られているのでローマ字で「HIROSIMA」です)で、つづいて第五福竜丸で、しかも最近では「東海村臨界事故」で身近な情報を得ているのです。放射線による被曝は、生命の基本組織である細胞に傷をつけ、破壊します。チェルノブイリ原発事故では、とくに成長ざかりの子どもたちが、その生命の基礎組織に著しい被害をうけていたことが判明しています。
当センターは、この正月休みを返上して「福島子どもを守る会」に協力して、センターの宿泊施設を提供しました。2交代20家族を招きました。次回はより手際よく体制を整えようとしています。
いま、成長ざかりの子どもたちの「いまと未来のいのち」を守ることです。被曝地域の子どもたちの未来のために支援の輪、昨年の言葉では「絆」を作りたいのです。ご支援ください。

                                  雨貝 行麿
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